カメラの一番好きな瞬閒

2020年5月18日

私が一番好きな瞬閒は、被寫體を見附けた瞬閒、……ではない。
──シャッターを切る瞬閒でも、現像されたフィルムやプリントされた寫眞を眺める瞬閒でもない。

何と言つても、A(アドバンス)からR(リワインド)にレバーをセットして、フィルムを卷き戾す瞬閒である。
──その時、もう終はつちやつたのか……、あれはどんな風に撮れたのだらうか……、あそこは好い景色だつたな……、
いつもとF値やシャッター速度のバランスを變へてみたが裏目に出てはゐないだらうか、……などゝ走馬燈のやうに情景と情感が過ぎ去つていく。

この、しみじみと振り返る瞬閒が何よりも私は好きである。

キュルキュルキュルキュル、カラカラ……ストン。
フィルムが空囘りを始め、卷き終へた時、漸く、──次はどんな寫眞を撮ろうか、どんなフィルムを入れようか、……と未來へ視線が戾る。

そんな、私のカメラで一番好きな瞬閒であつた。

──唯、フィルムはデジタル化がやや億劫であるので、WEBに擧げてある寫眞は全てスマートフォンで撮つたものであるから申し譯ない。
フィルムカメラの溫かみ(……さう、フィルムカメラは人の情や自然の溫かみを撮ることが出來るのだ)を、傳へられないことが殘念である。

又、フィルムをデジタル化した時に、是非共有したいと思ふ。

それでは。